「E教授のゼミに入りたい!」
そう、それは私にとって天命であった。いや、宿命という言葉の方が似合っているかもしれない。
E教授は我が大学で日本近現代文学を研究している。まさに天才的な文章能力を持ってして国を築き上げ、国民に平安と安寧を与えているタカハッピーのための研究内容であるといっても過言ではない。
しかしE教授は人気だ。E教授のゼミに入りたがってる人間はごまんといる。前期の授業でE教授の講義をとっていたのはなんと40人を超える。我が学科は全員で80人ちょっとしかいない。40人は半数を占める。どれほど多くの人間がE教授の教えをこいているか。本当に恐ろしいことである。
E教授「人数が多ければ成績順にゼミに入れまーす。ゼミは8人程度です。私は10人くらいまでなら入れますが、それを超えるようなら、そういう措置を取ります」
なんと。成績順だと…?
私は必死だった。なんとしてでもゼミに入りたい。本をくまなく何度も読み返し、授業中は必死に手を挙げ質疑応答に参加した。しかし、上には上がいる。質疑応答の内容がこの天才タカハッピーより上のものはたくさんいた。私は手を挙げるたびに、心がぎゅっと絞り込まれた。発表しても私の意見は軽くあしらわれるだけだ。どうしてこんなにも手を挙げているのだろう、と。授業が途方も無い戦であったのはいうまでも無いだろう。
「私、E教授のレポート10000字書いたんだよねーwwwwwwww」
なんとさらに、3,000字程度と決められている最終レポートを10000字書いた強者がいた。私は授業でやったことを軽くなぞるようにしただけというのに。
もう、無理かもしれない…
私は打ちひしがれた。頑張ってきたつもりだった。いや、頑張ってた。私はよく頑張った。もっと自信を持っていい。こんなにも授業に食いついたなんてすごいことじゃないか。
私を期待している国民には申し訳ないが期待に応えられそうにない。これほど血で血を洗う争いになるとは思いもしなかった。
夏休みは終わり、ついに成績発表の時がやってきた。戦に疲れ萎んだ心のまま、成績表を手にした。そしてそっと覗いてみた。
「日本語表象論基礎演習 A+」
ほう。A+か。まぁこんなものだろう。
…ん?
A+???
そう。うちの大学の成績はA+,A,B,C,Dの五段階である。A+ということは…
そう。一番上の成績である。
「E教授の授業、A+だった!私、ゼミに入れるかもしれない!!」
国民は歓声と拍手で湧き上がった。国は喜びに包まれ、私は歓喜の涙を流した。
いける。このままいけばE教授のゼミに入れる…!
私は自信に満ち溢れた。花は咲き乱れ、小鳥はステキな歌を歌っていた。
そこへ友人のもっちーが。
もっちー「あぁーゼミどうしようかなー。E教授に入りたいんだけどなぁ」
ハッピー「えっ。もっちーもE教授志望なの?」
もっちー「悩み中。成績はA+だったんだけどね」
ハッピー「A+ならいけるでしょ」
もっちー「いや、E教授10人以上にA+つけているらしいよ」
………
一面青だった空が黒雲に覆われていく。
A+だと油断してはならなかった。私は鎧を脱ぎ去り羊とともに笛を吹いて遊んでしまっていた。まだ戦いは終わっていなかったのだ。
もっちー「今度ゼミ希望の集計をとるからその時までわからないね」
そう。運命の決戦はゼミ希望の集計。
どれくらいの人数がどの教授を希望しているかそこで初めてわかる。
E教授志望者が10人を超えていたら。事態はさらに苦しくなるだろう。
さぁどうなのか…
………
そして迎えた決戦の日。
「第一次ゼミ希望調査の集計結果」と書かれたメールがスマホに届けられていた。
胸の鼓動がトクントクンと鳴り響く。手は震え、汗が体中から吹き出る。さぁ、開こうではないか。えいっ。
メールに添付されているファイルを開いた。
………
………
「E教授 9人」
………
………
9人?!?!?!
なんと10人以内に収まっているではないか。
夢か。夢ではないのか。何度目をこすっても数値は変わらなかった。
8人程度という人数は超えているが、10人以内には収まっている。
つまり、戦は良い方向に進んでいっているのだ。
ふぅと息を吐き、ファイルをそっと閉じた。
何度も言うが戦いはまだ終わっていない。しかし、きっと我々は勝利を手にすることだろう。
より良い未来を目指して。タカハッピーは光のある道筋へと一歩を踏み出していった。
…………
…………
…………
こんにちは、タカハッピーです。
うちの大学はゼミは三年の後期に決まります。他の大学は2年に決まってたりというところもあるみたいで、遅い方なんだろうなぁなんて思ったりします。
まぁいつ決まろうと志望しているところに入れればなんだっていいですよね。
私はなんとか第一志望のE教授のゼミに入れそうです。よかったぁ。
非常に長い駄文ですが読んでくださりありがとうございました。
これからも文章を書くことを専念していけたらなと思います。
それでは、さようなら。