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島はぼくらと

久しぶりです。こんにちは、タカハッピーです。

今日はこんな本を読み終わりました。

島はぼくらと (講談社文庫)

島はぼくらと (講談社文庫)

辻村深月先生の「島はぼくらと」です。
前回読んだ「子どもたちは夜と遊ぶ」がかなり残酷な話だったのに対して…
本作はとても爽やかで希望に満ちている話でした。
まず、舞台は瀬戸内海に面している島、「冴島」。そこに住んでいる高校生4人の青春物語…
田舎、というと閉塞感で息が詰まりそうになるイメージがどうしてもあるのですが、本作ではかなり肯定的に田舎をかたどっていました。
伝統的なしきたりを受け継ぐ漁師の方、地元の会社「さえじま」で働く人々、Iターンでやってきた人々…
一人一人が生き生きとその島で暮らしていく様子が描かれていて、非常に透明感がありました。
私は島育ちではありませんが、瀬戸内海に面している田舎で育ったので、非常に親近感がわきました。
冴島に住む高校生のように、私も地元ではいい思い出ばかり。たくさんの友達に囲まれ、イケメンの優しい幼馴染の彼氏もいて、とても楽しい時間を………
…過ごしては…いません。笑
地元は好きですが、いい思い出ばかりか、と聞かれるとそうではありません。前の記事にも書きましたが、人間関係を築くのが下手なので中学時代には特に苦労していました。
でも、それを含めて「故郷」なんだろうなと思います。
本作でも、田舎を肯定的に書いてるとはいえ、「田舎万歳!」というようなものではなく、生々しい田舎ならではの様子も描かれています。
村長の身勝手さや、医師がいなくて苦労する様子…フェリーで通学するため16:00には帰らないといけない…

また田舎の高校生、というと世界がとても狭いように思います。
心では背伸びしてはいるけれど、実家で暮らしている。親元から離れられないから、夜に遊ぶこともない。
本作では、親に内緒で東京に行き、亡くなった縞おばあちゃんの形見を友人の碧子さんに渡すことを高校生4人が企て、「修学旅行中、抜け出して渡しに行けばいいんだ!」とまるで冒険するかのように言うシーンがあります。
修学旅行中に抜け出す。だからなんだと思われてしまうかもしれませんが、高校生からしたら大冒険です。親にも先生にもバレないようにそっと抜け出して計画を実行する。自分たちだけの作戦。
大学生になったら親に内緒で東京に行くなんて簡単ですし、先生の監視のもとで行うということもなくなります。
私も高校生のころ、親に「文化祭の準備があるから遅くなる」と言って、部活の友達とカラオケに行ったことがあります。22:00になるまで友達と歌い明かしながらも、心の中ではドキドキしていました。先生たちに見つかったらどうしよう。お母さんが知ったらすっごく怒られるかな。たかがカラオケですが「保護者」のもとにいる身分のため、これもすごく冒険のように思えました。
今では大学生なので深夜まで飲み明かした後にカラオケでオールするなんてザラです。
これは、狭い世界を生きる田舎の高校生ならではだと思うのです。
自分たちにとっての大冒険を楽しむ。これは保護者の監視下にある学生ならではだと思うのです。
その様子も鮮明に書かれていて、とてもリアルだなぁと思いました。
「島はぼくらと」、とってもキラキラしていてサラッとしてるので、ぜひ!読んでみてくださいね!
私はとりあえず就活、頑張ろう…
更新が遅くなりますが気長に待ってくださると嬉しいです!
それでは、さようなら。