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思ったことを徒然なるままに

名前探しの放課後

こんにちは、タカハッピーです。

更新が滞っていたので、それまでに読んだ本を紹介していきたいと思います。

まずはこちら。

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

名前探しの放課後(下) (講談社文庫)

名前探しの放課後(下) (講談社文庫)

辻村深月先生の「名前探しの放課後」です。
依田いつかはクラスメイトの誰かが自殺したと聞いてから、三ヶ月前の世界にタイムスリップしてしまいます。しかし、自殺したとわかっていながら、誰かを思い出すことができないのです。自殺した人は誰なのか。それを止めるべく、友だちと相談しながら計画を進めていく…
今回の話は「ぼくのメジャースプーン」や「凍りのくじら」といった本に登場した人物がたくさん出てきたので、繋がっていてとても懐かしくなり、読み返したくなりました。
また、主人公の「いつか」や「あすな」の名前の由来も今回大きく関わっていました。
「いつかなりたいものになれるように」
だから、いつか。
とても前向きな名前。しかし、いつか本人は「いつかなりたいものになれるってなんだよ」とあまりよく思ってない様子。
あすなの名前の由来は、木の「翌檜(あすなろ)」です。
翌檜は「明日は檜になろう」という意味が込められているらしいです。目標目指して頑張っていこうという、 これも前向きな名前。
しかし、あすなは叔母にはこんなことを言われていました。
「翌檜。明日、檜になろう。なんて残酷な名前なんだろう。翌檜は檜には絶対なれないのに。まぁ義姉さんが考えそうな名前だわ」
あすなはじっと耳を閉じ、聞こえないふりをします。
名前。名前にコンプレックスを抱く、というのはとてもわかる気がします。
かくいう私も、名前にコンプレックスを抱えてました。
私の本名は晒せないので、仮名として「花」とします。
私には名前の由来がありません。「花」っていう名前にしたかったから「花」にした。漢字も適当に当てたのを姓名判断師に見てもらい決めただけ。
小学三年生の頃、親に名前の由来を聞いて発表しようという授業がありました。私はウキウキしながら親に聞くと、「あなたの名前は花ってしたかったからよ」と言われてガッカリしました。「こんな風に育って欲しい」「この月に生まれたから漢字もこんな風にしよう」そんなものは一切なく、漢字も姓名判断師が選んだものというだけ。
発表の時に周りが「こういう意味が込められています」「こういう願いがあってつけられました」という中で、私は「私には名前の由来がありません。花って名前にしたくてしただけです。漢字に意味はなく、適当に当てただけです」と言うしかありませんでした。
「真面目にしてください」
担任の先生にそう怒られました。
私はめちゃくちゃ真面目に本当のことを発表したのに怒られる意味がわからず、憤って「本当に私は名前の由来がないんです!真面目に発表してます!」と声をあげました。
「名前の由来がないなんてありえないでしょう。ちゃんと親御さんに聞いたんですか?」
先生に睨まれながらそう言われました。
…名前の由来がないなんてありえない。
私の名前はありえないのかな。「普通」の子供は名前に意味がちゃんとついていて、私のような子供は「ありえない」ことに由来がない、ということなのかな?
そんな風に言われたこともあって、「由来のない名前」ということが、すごくコンプレックスになってしまいました。なので「花」という名前が嫌いになりました。友だちには「下の名前じゃなくて苗字で呼んでね」と言い、タカハッピーというあだ名がつくまでは、男女関係なく苗字で呼ばれていました。
しかし、「いつか」や「あすな」のように意味が込められていても、そのことで何か悪く言われたり、嫌になってしまうこともあるのだな、と思いました。
「本当は『奏』って漢字を入れたかったんだけど、姓名判断師に字画が悪いって言われてね…3回ほど花ちゃんを連れて名前の候補の紙を姓名判断師のもとに持って行って、何度も考えて決めたのよ。もともと、お腹の中にいる頃から『はなちゃん』って呼んでたから、姓名判断師に花なら字画がいいって言われて嬉しかったな」
お母さんにニコニコしながら私にそう言っていました。
名前の由来はないけれど、親はちゃんと考えてるし、姓名判断師に字画を見てもらっています。「そこに意味を落とそう」と唯一無二の珍しい名前ではなく、ある意味では「はな」という平凡だけれど「そういう名前にしたい」という意味がついている、ということにだいぶ大きくなってから気がつきました。
今では私の名前は気に入っています。由来がないけれど、適当につけられたわけではないんだと思えるようになりました。
ただ、タカハッピーというあだ名もとても気に入ってるので、大抵はいろんな人から「ハッピー」と呼ばれていて、「花」とはあまり呼ばれないのですが(笑)
あすなも「残酷な名前だ」と言われていても、「あすな」という名前を気に入っていました。
「おじいちゃんが、私の名前を褒めてくれるから、私、あすなって名前好き」
両親がいないあすなの唯一の肉親のおじいちゃんは、あすなという名前をとても褒めていました。いい名前だ、と。
由来はない名前。意味を込められてるけど悪く言われる名前。どちらも結局は「ちゃんといい名前だと肯定してもらえる」ことで、その名前がいいものだと思えるのだと、今回の話で感じました。
私に子供ができたらどんな名前をつけよう。私の両親みたいに姓名判断師に持っていくのもいいな。由来がないって怒られるかもしれないけど。願いを込めて漢字を考えるのも、悪くないし、どうしようかな…
どんな形であれ、子供のことをよく考えて名前をつけていくんだろうな、と思えるようになりました。
皆さんの名前はどんな名前ですか?それぞれの思いや願いがあると私は思っています。
それでは、さようなら。