こんにちは、タカハッピーです。
ブログ更新してない間にも何冊か本を読んだので紹介しようと思います。
まずこちら。
- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/01/30
- メディア: 文庫
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綾辻行人さんの「殺人鬼」です。
なぜ綾辻行人さんを急に読みだしたのか。それは、E教授の何気ない(いや、もしかしたら心を込めて言ったかもしれないが)一言でした。
実は先日、卒業論文の中間報告会がありました。ゼミでその練習として、一回皆の前で発表したのです。
辻村深月さんの情報をとにかく書いて埋めようと、雑誌のプロフィールに書かれていることをそのまま書いたのです。深く考えず、とにかく字数を稼ごうと思ったのです。(クズ)
すると、発表の最中にE教授はこう言いました。
…むむむ。
確かに辻村深月さんはものすごい綾辻行人さんのファンです。ペンネームにするほどだし、実際に手紙を100通以上出して「わたしはストーカーではありません」と最後に駄目押しして、なんと綾辻行人さん本人から「ストーカーだなんて思ってませんよ」と返信が来たとエッセイにツラツラと書かれていました。
でも、どのように影響されたか。確かに調べる余地はありそう。
そう思い、ゼミのあと本を借りに大学の図書館に行きました。が…
なんと。綾辻行人作品をほとんど置いてないという。
「Another 綾辻行人」
Another …これ、読んでないけど見たことある!!!この本、綾辻行人さんだったんだ!!
Another は新しい本なので、卒論の参考にはならないでしょう。でも、わたしはこの本に見覚えがありました。中学生のころ、流行っていたのです。
「これ、すっごい面白いんだー」
キャピキャピした女子がAnother を手に取りニコニコ笑いながらそう言ってました。
わたしはそれを横目で見て、勉強してました。本を読むのは好きです。でも、キャピキャピした子が「面白い」と言ってる本なんて絶対大したことない。「面白い」は本をちゃんと読んでる人が言えるものであって、どうせこれも内容の薄っぺらい、ただ人がたくさん死んでいくような、そういうものなんだろうな。
ちょうど、地元の本屋の店員が綾辻行人さんのファンだったのか、Another のコーナーを大きく作っていたのもあり、興味はとてもありました。けれど、キャピキャピした子と同等になりたくない。痛すぎる意地から頑なに読もうとしませんでした。
あの時、読んでたらよかったのになぁ。
OPACにのってるAnother を指でなぞり、そう思いました。とりあえず、古いやつを読んでみて、時間があったらAnother を読もう。
…そうして借りたのが「殺人鬼」でした。
正直、内容はめちゃくちゃグロテスクです。
丁寧すぎるほどの人の死の描写。神経が狂ってる殺人鬼と阿鼻叫喚の世界。私はグロテスクなものがあまり得意ではありません。人が紙人形のように死んでいく世界観に目を背けそうになりました。
けれど、最後まで読み切りました。いや、かなり集中して読んでしまいました。死ぬ場面を読むのは正直辛かったですが、面白かったのです。
この作品はただのスプラッタ小説なのではなく、半分はミステリです。物語の至る所に伏線が張ってあり、最後はちゃんと納得できる予想外の展開となっていました。
「ただ人が死んでいく薄っぺらい物語」ではなく、ちゃんと考えられている作品でした。
私がグロテスクな小説が苦手な理由の一つに、現実世界で起きてる殺人事件の犯人がそれに影響されていることがある、ということが挙げられます。残酷で冷徹な殺人鬼に憧れて、模倣する。そんなの絶対ダメだ、小説家も人の命をなんだと思ってるんだ、という意識が植え付けられていました。
けれど、綾辻行人さんはあとがきで「小説や映画の世界は完全にフィクションだ。僕は暴力も戦争も嫌いな平和主義だが、ホラーやスプラッタは大好きだ。それはフィクションとして楽しめているから。現実と混同してないから」と書いてありました。
ああ、たしかになぁ。「グロテスクな小説→殺人鬼を生み出す」わけではなくて、現実とフィクションの区別ができない人が事件を起こす、いわばこじつけなのだな、と改めて気がつきました。
世の中も小説や映画を責めるのではなく、ちゃんとフィクションとして評価をするべきだな、という風に思いました。
また感想文あげていくので、時間があったら読んでみてください。
それでは、さようなら。