幸せなら手を叩こう

思ったことを徒然なるままに

ツナグ

こんにちは、タカハッピーです。

今日はこの本を読み終わりました。

それがこちら。

ツナグ(新潮文庫)

ツナグ(新潮文庫)

  • 作者:辻村深月
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: Kindle
辻村深月先生の「ツナグ」です。
この本、実は私が初めて読んだ辻村深月先生作品です。中学生の頃読んで、それぞれの人物の物語、繊細な感情描写に洗礼を受けました。
それにしてもなぜまた読み返したのか。そのわけは最近辻村深月先生が「ツナグ」の続編を出したことによります。

ツナグ 想い人の心得

ツナグ 想い人の心得

  • 作者:辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: 単行本
これですね。私はもうこれが読みたくて読みたくて大学の図書館にリクエストして買ってもらいました。(なぜ自分で買わないかって?置き場がないので…本当は買いたい)
大学から「買ってやったぞ」と連絡があったので、「ありがとう大学!よし!読もう…でもその前に復習するか」とツナグを読んだというわけです。

ツナグ。それは生きてる人と死んだ人を会わせるための仲介人。生きてる人は、一度だけ1人のみ死者を指名でき、死んでる方も一度だけ1人のみ生者と会うことができる。死者からは指名はできず、待つことしかできない。

私が初めてこの本を読んだ時、「人の死」を経験したことがありませんでした。葬式にも一度も参加したことがなく、身近な「死」というものを経験していなかったのです。
もし、死者に会えるなら、誰に会いたい?
当時そう自問自答してみましたが、何せ身の回りで誰も死んでないので、特に会いたい人はいませんでした。
しかし、今では祖父の死を経験しています。前にブログにも書きましたが、去年祖父は寿命のために他界しました。あまり仲良くなく、祖父は私と2人の妹との区別もできてませんでした。しかし、それは私が「愛されてない」と思い込んでいたもので、もっと会いに行って会話すればよかった…と後悔していたのです。
…祖父に会いたい?
答えはイエスです。たくさんお話ししたいです。被爆のことも聞いて伝えていきたいし、私はハッピーだよ、妹と間違えるな!と怒ったりもしたいです。
けれど、ツナグのルール「死者は一度きり、たった1人としか面会ができない」ということを考えると、私は祖父と会う権利はないかなぁと思います。私ではなく、父や祖母の方が、よほど祖父に会う権利はあるでしょう。

死者に会う。それは生者のエゴでしかない。
…そういう言葉が随所で出てきました。
死者の一回きりのチャンスを自分に会わせるために使う。果たして「会う」ことは正しいのか。意味があるのか。
使者の歩美はそう悩みます。
私としては、意味はあると思います。そう思いたいです。たしかに「生者のエゴ」だとは思います。一度のチャンスを自分のために使うよう、死者に懇願する。それもワガママだとは思います。
でも。会うことで、自分の中で整理はつくんじゃないかなと思います。それが悪い方向に走ったとしても、そのことを心に留めて行動ができるんじゃないかと思います。
ツナグのルールでは祖父に会う権利はないだろうけど、もしそういうルールがないなら本当は会いたいです。もっと話したい。私の赤ちゃんの頃の写真をアルバムに挟んでくれてありがとうって伝えたい。私のエゴだしワガママですが、ほとんど会話せず、交流することなく亡くなった祖父に対して、もっとこうしたかったという後悔をなくしたいという気持ちはあるのです。
祖父のためではなく、ほぼ自分のためです。でも、そうすることで何も変わらなかったということはないと思います。そう思いたいのです。
私はこれからもっとたくさんの死を経験していくでしょう。祖母、母方の祖父母、父、母…その度に「もう一度会って後悔を消したい」と思うことでしょう。
「会うこと」は再三述べてる通りエゴです。でもきっと、そうすることで死と向き合える。そんな気がします。
ツナグではそういうことを考えさせられました。皆さんもぜひ、読んでみてください。
それでは、さようなら。