こんにちは、タカハッピーです。
先日、私の尊敬してやまない作家、深緑野分さんのお友達の小川哲さんが、直木賞を受賞されました。
(私は深緑さんとも小川さんとも友達でもなんでもないので悪しからず)
それを記念しての小川さんのエッセイがこちら。
https://www.pen-online.jp/article/012356.html
ここから、ちょっと引用してみます。
僕は何度か、特に食べたくもないのにブロッコリーを買ったことがある。僕の中でそのブロッコリーは「フェイクブロッコリー」と呼ばれている。(中略)レジの順番を待ちながら、僕は無性に恥ずかしくなる。このままだとレジの人に「こいつ、いまからカレーをつくるつもりだ」と思われるかもしれないからだ。僕はレジの列から離脱して野菜コーナーへ向かい、ブロッコリーをカゴに加える。(中略)僕はどうやら、自分の意思や意図を他人に読まれることを恥ずかしいと感じてしまうようだ。この癖のせいで、小説を書く時にいつも苦労している。(中略)小説を書いていると、決まった型に吸いこまれそうになることが多々ある。そういう時に、僕の中の「フェイクブロッコリー」が顔を出し、「このままじゃ読者に先読みされるぞ」と囁いてくる。僕は作品にブロッコリーを入れ、しらたきを入れ、生クリームやズッキーニや乾燥ポルチーニ茸や練りわさびを入れているうちに、なにがなんだかわからなくなり、最後にはあんまり売れない本ができあがる。
えぇ……。
すごい、としか言いようにない。
あんまり売れない本ができる、と小川さんはおっしゃってますが、小説は読者を裏切ってなんぼだと思います。そして、直木賞を取って結果を残しているのだから、フェイクブロッコリーは十分に機能してるのです。
そして、私自身、小川さんとは全くの反対人間なんだなと改めて気付かされました。
例えば、私は「今日肉じゃがを作るぞ」と思うと、そのまま肉じゃがの材料を買います。そしてそのままレジへ。さらには、こう思うのです。「レジの人、私が肉じゃがを作るのか、カレーを作るのか、どちらなんだろうと推理するんじゃないかな」と。
それだけじゃない。「もしかしたら、この料理、彼氏のために作るって思ってもらえたりして。実際は自分のためだけに作るものだけど、家庭的って思われるかも!!!」と、余計な妄想まで膨らみます。
赤の他人が、自分のことを考えてくれる。それがたとえ誇らしいことでないとしても、自分が相手の人生のページに少しでも切り込みを入れられると思うと、すごくワクワクします。
とにかく、自己主張がしたくてたまらない。
フェイクブロッコリーならぬ、丸見え肉じゃが。
まぁ、ただの目立ちたがり屋ですね。笑
自分の意思や意図を読み取られるのが恥ずかしい小川さんのまさに真逆。自分の内面や恥ずかしさ部分をどんどん発信していきたくてたまらないのです。
私が初めてブログ記事を書いた時も、「ほんとうにお前は女子大生なのか(当時)」と思わせるような、「鼻血が止まらなくて脱脂綿を鼻の穴に詰められた」という、可愛さをまるで感じない人生の汚点のようなもの。
その性格のせいで、小説を書く時も本当に苦労しています。
私はどうしても、自分の書きたいことを読者に知ってもらいたくてたまらなくなり、伏線を張るのが異常に下手。「かがみの孤城」みたいな小説が書きたくて、それぞれ事情を抱えた子どもたちの話を作ろうとしたけれど、途中その小説を読んだ親友のうさぎちゃんに「まだ少ししか進んでないのに、話の中で子どもたちの事情明かすの早くない?」と言われるほど。
俺を見ろ!そして知ってくれ!俺のことを考えろ!頭の中を俺でいっぱいにしてくれ!
そうして全く評価されない小説ができあがる。
これが私なのです。悲しいことに。
(まぁ評価されないのはそれだけが原因じゃないですけどね、たぶん)
そして、わたしはよく「変わってるね」と言われます。周りが皆そういうので「変わってるんだろうなあ」とは思うけど、何が変わってるのか自覚がないので「どこが変わってるの?」といろんな人に聞いてきましたが、皆口を揃えて「言語化できないから真の変人なんだよ」と言います。
「私ってそんなに変人かなぁ」
またもや登場の親友のうさぎちゃんにそう尋ねました。
「変人だね」
「何がおかしいの」
「うーん……確かにハッピーちゃんは奇怪な言動をするわけじゃないんだけど……こうだと思う。普通の人なら『恥ずかしい』って思うようなことでも、ハッピーちゃんは明け透けになんでも語って笑ったり、行動するよね。そういうところが、人から愛されるんだと思うよ」
……!
丸見え肉じゃがの私ですが、そういう部分がおかしくもあり、人から愛されるってこと…?
「心理学で、自分のことをたくさん話すのって、好かれやすくなるらしい。ナントカの定理か法則か名前は忘れたけど、それを学んだ時真っ先に『ハッピーちゃんじゃん!』って思ったもん」
……へ、へぇ〜。
自分では意識したことなかったけど、丸見え肉じゃがの性格が人の心を掴んでいたのか……。
私は小川さんのように、あっと驚かせるようなミスリードやフェイクを取り入れられた小説はきっと、書けないと思います。自分の考えていることを、すぐにでも読者に知ってもらいたいから。
でも、自分の綺麗な部分ではない、汚くてドロドロした思いを文に込めて、発信していくことは、できると思います。それがいいとか悪いとかではなく、「私にできること」なのです。
どんな自分でも、相手に知ってもらいたい。
私は決して頭も良くなければ、性格も自己中で短気。でも、「こういう残念な人間もいるんだよ」と伝えることはできます。
まぁ、もしかするとブログが既にそうかもしれないですけどね笑
これからも、丸見え肉じゃがとして、日々文章を綴っていけたらと思います。
小説も評価されますように。
それでは、さようなら。