「こないだ次女がね、長女の友達の男の子とスノボに行って、その後3人で飲んだのよ」
「へぇ。男の子の友達が少ない私からすると、すごくドキドキするシチュエーションですね」
ブログでも何度も書いているが、私は悲しいほどにモテない。どのくらいモテないかというと、中学の卒業文集で「一生独身でいそうな人ランキング」で栄光の2位を勝ち取った。いやどんなランキング。いじめか。
同僚の娘さんが姉の男友達とスノボ。そんなアニメみたいなシチュエーション、すごすぎる。到底私にはできないなと感心していた。
「そう?ハッピーちゃん、めちゃくちゃ男の子と仲良くない?めちゃくちゃ男友達多いイメージ」
「え?!そうですか?!」
「だって、よく同期くんたちと飲みに行ってるし、先輩くんや後輩くんとボドゲしたりマダミスしたり、岡山に行ってリアル脱出ゲームしたりしてるよね?」
あ、たしかに。
残念ながら非モテは継続中ではあるが、社会人になってから、男の子とばかり遊ぶようになっている気がする。
弊庁は結構男社会で、あまり女の子がいない。同期にも女の子は2人いるが、2人とも子持ち様なのでなかなか遊びづらく、結果限界同期メンズとばかり飲んでいる。
先輩くんや後輩くんとも、庁内でもっと友達を作りたいと思っていた矢先、スマブラを買ったら、ありがたいことにゲーム仲間に入れてくれた。そこで私がボドゲやリアル脱出ゲームを布教して、結果プライベートでもたくさん遊ぶようになった。
趣味のボドゲでもいろんな男性と遊んでいるし、気がつけば男の子とたくさん遊ぶようになっているな、と今更ながら気づいた。
これを学生時代の私が知ったら、驚きのあまり気を失ってしまうかもしれない。
小学生の頃は比較的男の子とも遊ぶ子供だったが、中学生になった途端、話すのも難しいくらい男の子が苦手になった。
苦手、というか、当時かなり性格が尖っていたので男子達が私を避けるようになった。独身でいそうな人ランキング2位は伊達ではない。
高校生になると性格の尖りはだいぶ削られたが、それでも見た目も中身もキモオタだったので、やはり男子とは疎遠だった。唯一アニオタのFくんとミリオタのOとは仲良しだったが、彼らは男友達というよりオタク仲間だった。カラオケに行けば萌系アニメのキャラソンばかり歌うやつ、月月火水木金金とか歌い出すやつと心震える恋など始まるわけがない。
大学時代はサークルに打ち込み、男の先輩と会話をすることはあったが、「この人かっこいいな」と思う先輩は既に彼女がいたし、男の人の免疫がなさすぎるため、建設的な会話はあまりできなかったように思う。高校時代の延長のように「リゼロ(アニメ)面白いのでみてください!」とか言ってた。見るわけないのに。
とまぁ、悲しいほどに男の人と縁のない学生時代を送ってきた。
縁はないが、人並みに恋愛には興味があった。というか、めちゃくちゃ彼氏が欲しかった。大好きな漫画やアニメではいつも隣に素敵な男の子がいた。私にも、通じ合える男の子と共に過ごしたい。心踊る恋愛がしたい。
そんな大学3年の時、公務員専門学校で1人自習をしていた。この時の私は一生懸命勉強しているが、第一志望の自治体の学科試験は通れど人間性を見破られて最終面接で落とされることを知らない。
それはさておき。
黙々と勉強していたら「あの!」と声をかけられた。
「その本、辻村深月ですよね?」
え、と声にならない声が出た。
「僕、すごく辻村深月さん好きなんですよ」
参考書のそばに、大好きな作家辻村深月さんの本を置いていた。卒論を辻村深月さんにすることを決め、息抜きに辻村深月さんの本を読んで卒論のテーマ探しをしていたのだ。
それがきっかけで、男の子に話しかけられた。
「え、あ、その、私も、辻村深月さん、好きで、卒論にしようと、それで」
「卒論!いいねー、文学部ですか?」
「まぁ、そんな、感じです」
「僕ね、辻村深月さんだと、『冷たい校舎の時は止まる』が好きでー」
夢かと思った。
胸が、信じられないほどバクバク鳴る。体中に血が巡り、頭が沸騰しそうなほど熱い。
この、私が。独身でいそうな人ランキング2位の私が。見た目も中身もキモオタの私が。
なんと、男の子に話しかけられたのだ。
人生におけるビッグニュースだった。今まで彼氏というものに憧れを持ち続けていたが、男の子と仲良くなるなど完全にフィクションの世界だった。感激で涙が出そうだった。
「私、辻村深月さんの本、たくさん持ってます。貸しましょうか」
「お!ぜひ!」
ニカっと笑う涼しげな笑顔に、体が震えてクラクラした。
その日は胸の高鳴りがうるさすぎて眠れなかった。どうしよう、男の子と約束しちゃった。こんなこと、小学生以来かもしれない。
とまぁバカみたいに興奮していたのだが。
お気づきの通り、本を貸すことはなかった。
普通に彼は、公務員学校で女の子と2人で行動していた。四六時中その女の子と過ごしていた。本持ってきましたよ、と声をかけることはできなかった。
まぁ、タカハッピーという女はそんなもんである。
それほどに男の子の免疫がなかったにも関わらず、今では男の子とたくさん遊んでいる。
同期A「ようバケモノ」
同期B「タカハシは同期の中ではペットみたいなもんだから」
同期C「珍獣みたいなもんだよね」
やっぱり、非モテは継続のようだけれど……………笑
それでも、こんなに男の子たちが親しげに話してくれているとあの時の私が知ったら、また夜も眠れなくなるだろうな、と1人笑った。