幸せなら手を叩こう

思ったことを徒然なるままに

図書室で暮らしたい

こんにちは、タカハッピーです。

今日はこんな本を読み終わりました。

それがこちら。

図書室で暮らしたい

図書室で暮らしたい

辻村深月先生のエッセイ「図書室で暮らしたい」です。
この本を読んで、改めて辻村深月先生がいかにフィクションの世界を愛しているか、そしてガッツがあるか。ひしひしと感じました。
好きな作家さんに手紙を何十通と送り、ゲームの感想文コンクールで100通近く感想文を送る…
並大抵の気力ではないですよね!笑
私も辻村深月先生に手紙を書こうかな…と思いながらも「いや字が汚いし…」「文章力がないから…」と行動に移せないままです。見習いたいです…笑
また、辻村深月先生は小学一年生の頃に書いた読書感想文についても綴っていました。
「物語の中に出てくる食べ物に、憧れを抱く人は多いだろう。(中略)私にとって、まだらめ三保さんの児童書『おひめさま がっこうへいく』のゼリーは、その最たるものだ。(中略)そんなことを、その年の読書感想文に書いた。すると、結果は校内入選。学年で一番だと言われて、全校生徒の前で読み上げることになり、照れくさくも嬉しかった。するとその時、クラスメートの男子の一人が近づいてきて、私に言った。『本当は俺の作文が一番だったんだけど、難しいことがたくさん書いてあるから、一年生らしくて子供っぽいお前に今回は譲ってやれって、先生に言われたんだ』彼は私とは別の幼稚園から来た子で"頭がいい"とずっと言われていた子だった。その年、課題図書だった戦争を扱った本で読書感想文を書き、内容は忘れてしまったが、確かにとてもうまかった。みんな彼が入選すると疑ってなかったし、彼自身もそれはそうだったのだろう。私に言うとき、唇を尖らせた彼が、少し、涙目になっていた。私は驚き、そうだったのか、と打ちひしがれると同時に、もっとショックに胸を貫かれていた。その子は、私の初恋の相手だったのだ」
…せ、切ない……
この話は当時は初恋が破れてしまったことに気を取られていたけれど、今思えば私の作文が選ばれてよかったと締めくくられていましたが…
そんな思い出があるだなんて、なんだか胸がしめつけられますね。
こないだ、私も読書感想文の思い出について語りました。(といっても3ヶ月近く前ですが)
読書間奏文 - 幸せなら手を叩こう bzbzbzaptx4869.hatenablog.com/entry/2019/02/… '' #はてなブログ
これですね。自分には文才があると思っていたのに実は全然そんなことなかったという天狗のお話です。
自意識過剰だったんだね〜と片付けられる話ではありますが…
実は私も辻村深月先生のように、「読書感想文」というと「挫折」の他に「初恋」の思い出が色濃くあります。
そうあれは遡ること10年以上前…
「あなたの作文が素晴らしかったからコンクールに出そうと思うの」
にこりと微笑みながら先生はそう言いました。
突然のことにあっけにとられている私に、更にこう付け加えました。
「もう一人。新井くん(仮名)の作文も素晴らしかったから、二人で別室で清書してね」
すると後ろからひょっこり新井くんが現れました。
ぱっちりお目目。リンと結ばれた唇。きれいな鼻筋。バランスの良い顔立ち。スラッとした体型。
え、えええ、ええええええ。
め、めちゃくちゃカッコイイ!!!!!
ズッキューーーンと心臓を撃ち抜かれました。こんなカッコイイ人と二人きりで作文?!え、ええ、えええええー!
いわゆる一目惚れというやつです。好きな男の子と一緒に別室で作文なんて、漫画のような展開に私はもう頭の中がパンクしそうでした。
清書中、胸がバクバクいいながらも、私は新井くんに必死で話しかけました。
家族のこと、友達のこと、習い事のこと…
もう具体的に何話したかなんて全く覚えていませんが、仲良くなりたかったので必死でした。
「あはは、君の話は本当に面白いな」
私が話すたびに、新井くんはふふっと笑いながらそう言ってくれました。私はあまり頭が良くないので同じ話を何度もしたりしましたが、それでも「あはは」と笑ってくれました。
かっこいいだけではなく、性格もとても良かったのです。
何話しても笑ってくれるので「私といて無理してるんじゃないかな?」と思わず考えてしまうほど。
そして、そう思いながらも清書の時間が待ち遠しくて仕方ありませんでした。二人きりでいろんな話ができる。(私が一方的に話してるだけだけど)先生が来るまではずっと二人の世界。
本当に楽しかった。
しだいに私は新井くんのストーカーと化しました。清書の時間の他にも、隙を見つけて話しかけました。また、新井くんの身の回りのことをめちゃくちゃ調べまくってました。
新井くんが優しいことをいいことに本当につけあがってましたね!
一番ひどいことは、彼にお土産を買ったときのことですね。
「新井くんにもお土産買おう。何にしようかな。ストラップとかもらっても困るだろうし…ボールペンにしよう!……まてよ。ここで、ボールペンを二本買ったとする。一本は新井くん。もう一本は私のものにすると…….お揃いになるじゃん!!!」
同じボールペンを二本買い、一本は新井くんに贈り、残りは私のものにし、「新井くんとお揃い!!」と興奮。

……きっっっっっも!!!!!!
今考えると本当に気持ちが悪い。ストーカーもいいところすぎる。
ところが当時の私にとってそれは名案でした。新井くんはボールペンを受け取ると「ありがとう」と笑顔で言ってくれました。更には、わざわざ電話までくれたのです。
「新井です。あの、ボールペンありがとうございました」
普段教室で会うのに、電話越しの彼はなんだかいつもと違う気がして、とても緊張したのを覚えています。
その後、私は転校し、彼とは疎遠になりました。
転校先でも一度、読書感想文が選ばれ、クラスメートと一緒に別室で清書をすることになり、私は新井くんのことをずっと思い出しながら書いていました。懐かしいな。新井くんは元気かな。今頃何してるんだろう。
読書感想文。それは私にとって「挫折」であり、「初恋」でもあるのです。その両方を含めて、私は胸が苦しくなります。
今では彼とは音信不通です。新井くんは今頃どうしてるんだろう、と時々考えたりもします。でも、彼は頭が良くて優しいから友達もたくさんいて、カッコイイから女の子からモテモテで、きっと大学生活を謳歌してるんだろうな、と思います。
また彼に会っても恥ずかしくないように、一生懸命に生きよう。そう思って今日を過ごしています。 
皆さんにとって「読書感想文」とはなんですか?夏休みの宿題というイメージが強いかもしれませんが。でもきっと、皆さんそれぞれにドラマがあると私は思っています。
また、彼に会えるといいな。
それでは、さようなら。