幸せなら手を叩こう

思ったことを徒然なるままに

走れ!ハッピー!

こんにちは、タカハッピーです。

西日本はすごい雨ですが、皆さん大丈夫ですか?警報も出ているので気をつけてくださいね。

突然ですが、私は実家から大学に通学しています。通学手段は「新幹線&市電」です。

そう。

「新幹線&市電」です。

実家は山口県、大学は広島県にあるので新幹線で通わないと非常にキビシーのです。

「一人暮らししたいと思わないの?!」

この言葉、捨てるほど言われました。一時期はしたくてしたくてたまりませんでしたが、最近は大して一人暮らししたいとも思わなくなりましたね。

だって、、、家に帰ればご飯は用意してあるし、洗濯もしてもらえるし、体調くずしたときも面倒みてもらえますし

新幹線って案外楽なんですよね。めちゃくちゃ速いので広島県内から通学する人とさほど時間は変わらなかったりします。

それに、ほぼ座れますし居心地いいし優秀なのです。

ハッピー「明日は3限だけ!ゆっくりいこ~っと!」

私はすやすやと泥のように眠りました。

ところが。

ハッピー「おお、9時か。起きよっと。ん?スマホに通知が、、、新幹線運転見合わせ?!」 

なんと優秀な新幹線が運転見合わせという通知がスマホにきてたのです。とはいえ、通知するアプリが「運転見合わせ」とあっても運転していることはよくあるので気にすることはない、とは思いつつも不安でした。

金曜は3限しかありません。しかしその3限は重要な授業。日本近代文学の講座なのです。

エッセイの女王ハッピーは、日本近代文学の研究をするべくE教授のゼミに入りたくて仕方ないのです。しかしそう思ってる人間は星の数ほどいます。E教授は大人気なのです。ゼミに入るためには血で血を洗う争いに見事勝利しないといけない。

もし今日休んでしまったら、、、その争いに敗れてしまうかもしれない、、、

ハッピーは焦燥した。必ず、かの素晴らしい講義に出てみせると決意した。ハッピーには運転状況がよくわからぬ。ハッピーは山口県に住むエセ女子大生である。頭の中で笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。けれども、出席に対しては人一倍敏感であった。きょう未明ハッピーは家を出発し、野を越え山越え、2キロ離れた山口の某駅にやってきた。ハッピーには父も、母も、妹なんて二人もいるが、彼氏はいない。(ここ重要)家族で仲良く暮らしているが、ゼミに入るためにはE教授に媚びを売らなければならない。ゼミ決定の日は間近なのである。ハッピーはそれゆえ、本を熟読し資料を集めた後、はるばる駅にやって来たのだ。歩いているうちにハッピーは駅の様子を怪しく思った。人で溢れかえってる。まだ時間帯は昼頃であり、駅が賑やかなのは当たり前だが、けれども、なんだか昼のせいだけではなく、駅全体が、やけに騒がしい。のんきなハッピーも、だんだん不安になってきた。路で会った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二日前のこのど田舎駅には人っ子ひとりいなかったではないか、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて駅員に会い、今度はもっと語勢を強くして質問した。駅員は答えなかった。ハッピーは両手で駅員の体をゆすぶって質問を重ねた。駅員は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

「新幹線は博多広島間運転を見合わせています」

「なぜ見合わせてるのだ」

「ご覧のような天候ゆえ、、、12:10までは運転を見合わせています。それ以降は状況により判断しています」

12:10?!ハッピーは単純な女であった。そんなに待ってたまるかと鈍行で行くことを決意した。

「駅員、鈍行の運行はどうなっている」

「在来線はただ今遅延しておりまして、10:40発の電車は8駅分ほど前の駅にいます」

8駅分ほど前?!そんなに待ってたまるかと高速バスで行くことを決意した。

「お姉さん、高速バスの運行はどうなっている」

「高速バスの次回の運行は11:30ですね。広島に着くのは1時間40分後になります」

13:10に着くだと?!3限に間に合わないではないか!」

ハッピーは幾度となく目眩を感じ、これではならぬと、気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上がることができぬのだ。天を仰いで、悔し泣きに泣き出した。ああ、真の勇者ハッピーよ。ここで疲れ切って動けなくなるとは情けない、と、自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、もはや芋虫ほどに前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝転がった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もうどうでもいい、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣喰った。私は、これほど努力したのだ。神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだ。私は不信の徒では無い。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。その時だった。ふと耳に、潺々、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、ザァザァと雨が降っているではないか。その雨に吸い込まれるようにハッピーは身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。3限までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!ハッピー!

その時、同じ新幹線通学している妹からラインがきた。妹は一足先に1限のために大学に向かった。

「列車運転取りやめだとよ。帰れなくなっちゃう」

帰れない??

行って帰れなくてはもともこもない。

陸の孤島広島にひとりぽつんと残ってはたまらない。

今日は自主休講しちゃえー!いえーい!

ハッピーは心の中で自分とひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。群衆の中からも、歔欷の声が聞えた。

おわり。

……

……


あれ?これなんかブログというか、なんかのパクリ?


これを読んだ妹の感想「短編小説を読んだ気分になりました」


そりゃそうだ。